2016年6月6日月曜日

ビットコイン取引についての雑感(その1)


  • 目下のところ私にとって投資の主戦場はFXなのだが,相場観として当面は円安トレンドを見込んでおり(月足のドル円チャートでMACDがクロスするくらいまでは),アメリカの追加利上げも年末まではないだろうと踏んでいた。

  • それで,5月6日の雇用統計が予想を下回ったのを確認してドル売りポジションをとったところ,予想外にドル安に振れてしまったため,FXはしばらくお休みすることにして以前から関心があった BitflyerFX に挑戦してみることにした。

  • そうしたところ,先週末の雇用統計でまたまた予想外のドル高となり,週明けからFXに復帰することにしたので,ちょうど1か月間にわたって BitflyerFX をやってみた感想などを書きます。

  • まず,FX投資家がビットコイン取引に乗り換えるメリットがあるというと,現状ではないと断言してよいと思う。

  • その理由は,まず何よりも税金面で圧倒的に不利だという一言につきる。

  • というのは,国内FXは申告分離課税なので,どれだけ稼いでも所得税は一律20パーセントで済むが,ビットコイン取引の利益は総合課税であって給与所得や事業所得などと合算して累進課税となり,最高税率は45パーセントにもなる。

  • ビットコイン取引などで1000万円を超えるような利益を得てしまった方は,今のうちから所得税がどれくらいになるかを計算し,計画的に円貨をプールしておかないと大変なことになる。

  • また損失が出た場合にも,国内FXであれば翌年以降に損失を繰り越すことができるが,ビットコイン取引では損失を繰り越すことも,損益通算(損失を他の所得と相殺する)することもできない。

  • 申告分離課税は本当にありがたい仕組みであり,これは海外FXにも言えることだが,ビットコイン取引についても,申告分離課税のメリットを手放してまで乗り換える魅力はないように思う。

  • ちなみに,申告をせずに税金をごまかそうなどとは考えない方がよいと思う。

  • ごく普通のサラリーマンの方々は税務署が来るなんて都市伝説だろうくらいに思うのかもしれないが,日常的に自己申告で税金を納めている人(自営業者や法人の経営者)にとっては,税務調査は特別に珍しいものではないし,私自身も税務調査を受けたことはある。

  • 税務署は,下調べをしたうえで来るときには来るので,甘く見ない方がよい。そして,仮想通貨圏の広がりに関心をよせているのは税務署も同じだろう。

  • ここから先は想像も入っているのだが,税務署は毎年同じような調査を同じようにやっているのではなく,その時々のテーマを重点的に調査しているように思う。その意味で仮想通貨法制のできた今年などは特に要注意ではないだろうか。

  • マイナンバー制度のおかげで証券会社やFX業者に対する調査は容易になるので,制度の適用がないビットコイン取引所に余剰人員をまわすという展開もありうるかもしれない。

  • 彼らは国家権力なので,民間の感覚ではちょっと考えられないような調査ができてしまう。税務署が照会をすれば,ビットコイン取引所は顧客データも取引履歴もすべてのデータを躊躇なく開示するだろう。個人情報保護とかそういうレベル問題ではない。

  • それを解析され,ある日突然に税務署からお問い合わせが来るというのは現実的にありうる話だと思う。

  • 結果的に納税を免れたとしても,いつ税務署が来るかとびくびく怯えてすごすなどというのは,まっとうな社会人のすることではないだろう。

  • (つづく)